NODAMAPホームページから。
『劇場の灯を消してはいけない』
~この東北関東大震災の事態に上演続行を決定した理由〜
http://www.nodamap.com/site/news/206
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みなさん、お元気でいらっしゃいますか。
私は元気です。
東京は今日もすこぶる晴れ渡って、けれどもずっとヘリコプターが旋回していて
どきどきしています。
毎日、どきどきしています。
あんまりどきどきするので
今まで気付かなかった小さな自分の心臓の揺れが
まるで大地の揺れのように感じ
穏やかにお茶を飲んでいても、眠っていても、
はっとして、辺りを確認してしまいます。
心臓が動いているから、私は今もこうして生きている。
一生懸命休む間もなく動いてくれている心臓に驚嘆したり感謝しながら
揺れてるけど、揺れてない、大丈夫。大丈夫。
と、深呼吸します。
私は今、野田秀樹さんの新作『南へ』という舞台に立っています。
火山の噴火を予知出来る三つ子、のうちの一人を演じています。
地震直後、4回の休演をいたしましたが
リーダー野田秀樹氏の決断により、現在は通常通りの上演を行なっています。
もちろん今夜も。
交通網が不安定な中、チケットを握りしめて足を運んでくださる方々が
少しずつですが増えて参りました。
偶然にも、地震がたくさん起きるお芝居ですし
今となっては口にすることを躊躇する台詞も多く
演ずるこちら側は、初めから最後までどきどきしっぱなしです。
けれども、そもそも言葉とはそういうものであった。
と、今、実感しています。
言葉は力を持っています。
体全部でありったけの音量で台詞を放つ度に
その言葉を書いた野田さんも、共演者のみんなも、
ダメージを受けていることが感じられます。
では、私はどうか。
紙に記された言葉を音に変え、さらに力を与えて放り投げ
目の前の相手を傷付け、傷つき、けれどじっと踏みとどまって、共に考えること。
力一杯のエネルギーが動けば、どこかで何かが変化を遂げる。
スタッフのみなさんは、昼間も早くから劇場に入り
帰りは我々を無事に帰した後も残って作業を続け
警備のおじさんたちも、劇場事務の方々も、夜遅くまで上演続投を支えてくださっています。
お客さんも大いに笑ってくださっています。
人一倍臆病者の私だけれど、
ちゃんと引き受けて、思いっきり光を放って突っ走ろう。
それが私の今出来ること。