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Psalm of The Sea

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カテゴリ:わたくしごと( 50 )

犬は何語を話すのか。

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前の犬が亡くなってすぐの頃、二十世紀の最後の年。中学校時代の親友から電話がかかってきました。

「夕海、犬飼わない?」

話によると、ある日彼女のお母さんが買い物帰り、ペットショップでたまたま見掛けたガラス越しのコーギー犬(その頃ちょうど、小泉今日子さんが宣伝していた『午後の紅茶』のCMがはやっていて、それに出ていたコーギー犬も一緒にはやって、日本中のペットショップに出回った頃でした。)にひとめぼれして、そのまま買って帰って来たのだが、一匹では寂しそうだ。と言い出して、数日後に同じペットショップに行ってもう一匹買って帰って来て、その数ヶ月後、二匹がわんさか子犬を産んでしまった。売ってもいいのだけど、せっかくなので可愛がってくれそうな人のところに行って欲しい。とのことでした。

まるで大根買い過ぎちゃったみたいな感じだけど犬だよな・・・、と驚きながら、今はまだ新しい犬を飼う気持ちにはなれない。でもありがとう、ごめんね。と電話を切りました。切ったのですが、話を聞いた父が「でも、見に行くだけいってみない?」とそそのかすので、そうだね。久しぶりに彼女にも会いたいし、行くだけ行ってみようか。と重い腰を上げたのが、クーと出会うきっかけとなりました。

中学校以来久々に訪れた彼女の家は、当時と変わらず横浜のとある街に立つライオンズマンションの一室で、ところせましと家族みんなの荷物がひしめく中に、二匹の親犬と子犬達はわらわらと戯れていました。子どもというのは人間に限らずみな可愛いもので、手のひらに乗るくらいの小さな犬達が5匹も6匹もお尻をかじりあっているのを見てしまうと、抵抗するのはとても難しい。「触るだけならいいかな」と、手を出そうとした時、そのうちの一匹がじっと私の目を覗き込み、側にやってきて離れなくなりました。刷り込み卵ではないですが、きっと誰かが誰かと出会うというのはそんなもので、恐らくクーも私もあの瞬間に、ああ。わたしはこいつと暮らすんだな。と、お互いの了解が交わされたことを覚えています。


あれから十年が経ち、「クー」と名付けた彼はすっかり四本の足が立たなくなって、寝たきりの老犬になってしまいましたが、今でも毎日よく話します。特に私に対しては、甘やかしたせいもあり、よく何かを訴えかけてきます。クー自身は、私になら自分の言葉が通じると思っているようで、細かく音程を変えながらいろんなことを喋ります。むろん私に犬語は分からないので、うん、うん、そうかい、と分かった振りをして頷いていると、やっぱり君にはわかるのか!と、さらに喋り続けるのですが、犬が喋るのは吠えるということですから、非常にうるさい。うるさいので、時々無視するのだけれど、懸命に喋る(吠える)ので、仕方なく、わかった。じゃあ言いなよ。何を伝えたいの?と、がっちり対面します。

大体の場合はオシッコに連れて行け、というサインで、抱きかかえて外に連れ出すと、耐えきれず玄関先で「ぴゅぴゅ〜ん」と、黄色い噴水が吹き上がります。もしくは、立派な怪獣の卵のようなウンチが生まれて来ます。それ以外は、「はらへった、飯食わせろ」と「のどかわいた、水」がほとんどで、やっぱり動物は排泄と食欲がいちばんなんだな。と思います。あと、「痛い」「寒い」も、分かりやすいので、部屋を暖めたり、毛布でくるんだり、体を揉んだり擦ったりするのですが、その全てを網羅してもさらに吠えるときは、たぶん「さびしい。愛をくれ」なんだと思う。

ひゃんひゃんひゃんひゃん吠えるので、ああ、うるさい!なんだよ!オシッコしたし、ウンチしたし、ごはん食べたし、お部屋あったかいじゃん!仕事にならんよばかたれ!と怒る私の目をじっと見つめて黙ってしまう時は、しかたがないので、彼の頭の上に座布団を持って来て、両足の間に挟んで座りながら本を読んだり、ibookを膝に乗せて作業をします。歌うときは、キーボードの下まで彼の横たわっているござを引っ張って来て、左足でよしよしと撫でながら稽古をします。そうするとそのうち眠ります。

歳を取り、足が効かなくなった今は、耳や体のあちこちを自分で舐めて掃除をすることもできないし、伸びもできないし,あらゆることができなくなって、とにかく苦しくて悔しくて悲しくて、「夕海のばかたれ!ばかたればかたれ!」と、叫びまくります。本当にうるさい。でも、無駄吠えというのはひとつもないな。と思うようになりました。

クーは、犬語をしゃべっているんだろうか。
それともこれは、一応、私に伝わると彼の思う別の言葉をしゃべっているんだろうか。

わからないけれども、とにかく、何かを私に伝えようと努力しているのは確かだから、それを随分長い間、実家に預けっぱなしにして、時々行ってちょっと相手をするだけだったこの数年の彼への私の態度には、反省するばかりです。せめて老後、あとどれくらい生きるのかわからないけど、出来る限りちゃんと話合いたいと思っています。

と思ってこのところ手厚く介護してたら、ウンチがコロンとでかくなり、鼻も黒々と濡れて光り始め、まるで王様のようになってきたクーでした。
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by Yoomi_Tamai | 2011-12-16 19:51 | わたくしごと

私のtumblerを、登録なしでも読めるURLです。

東小金井村塾2で同級生だったそらひこくんに、教えてもらいました。ありがとう。

ここからtumblr、会員登録なしでも見ることが出来ました。
White Elephantの記録、よかったらご覧になっていってください。
http://go-go-goblin.tumblr.com/
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by Yoomi_Tamai | 2011-08-27 20:58 | わたくしごと

いきものつながり

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http://go-go-goblin.tumblr.com/post/9451213145?ref=nf
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by Yoomi_Tamai | 2011-08-27 20:52 | わたくしごと

電話を無くして四日目。

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            桃畑の結婚式


ライブにお越し下さったみなさま、ありがとうございました。駆けつけてくださったのに、出番が最初だったため間に合わず、お話しか出来なかった方、ごめんなさい。

遠いところから来て下さったり、とても久しぶりだったり、何かを切り上げたり諦めてきてくださったのに、今わたしが等身大でいようとするとどうにも草のようで、漲る元気とはほど遠く、次にいつどう歌うかわかりません、としょんぼり言って去りましたが、そういえば一つ約束がありました。

この間、16年振りにある友人と再会をした時、彼が季節限定のカフェを逗子に作ることになり、そこにピアノを入れるんだ、と言うから、海辺のピアノで歌うのいいなあ。とつぶやいたら、

「それいい!歌って!」

・・・って、おいおい。君は私の声や腕前を知っていて言っているのかい。と、いささか不安ではあるのですけど、そういうことで、もし酔いが冷めても彼がそう願っていてくれたとしたら、歌うんじゃないかなあ。ちゃんと決まったらお知らせします。

落としたiPhoneは未だ行方不明です。でも体内アンテナが伸びてきて、かえって悪くないです。



と、思うことにして、先に進みたいと思います。




上の映像は、<鳴り響く鐘は金色に>という曲の元になった家族の、結婚式から。製作者/石谷岳寛
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by Yoomi_Tamai | 2011-05-22 09:42 | わたくしごと

著莪

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先週、新潟の祖母の家を訪れた時、庭にたくさん咲いていたので父に訊ねたら、教えてくれました。何かを突きつけて怒っているような表情に見えて、美しいのだけれど気圧される。

昨日、千鳥ケ淵にも一輪咲いていました。
名前を知ってから見つけると、花と言えど友人に再会したようで、「やあ」と言いたくなった。


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2011年5月20日(金)
出演/arco・タカギマリコ・Neo-eco・玉井夕海
開場/18:30,開演/19:00
ticket/前売り2000円、当日2300円(ドリンク500円別)

私は一人目で、19:00~19:35頃に歌います。

お問合せ、チケットのご予約は
mona recordsへ。

下北沢駅(小田急線、京王井の頭線)南口、徒歩1分。
(マクドナルドを左手に緩やかな坂道を下ってください)

〒155-0031
東京都世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル2F&3F
TEL: 03-5787-3326
FAX: 03-5787-3327
info@mona-records.com
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by Yoomi_Tamai | 2011-05-16 17:17 | わたくしごと

緊急会議

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by Yoomi_Tamai | 2011-05-10 10:27 | わたくしごと

反芻記

このブログの題名を変えました。
本日以降、「奮闘記」から「反芻記」とします。

映画『もんしぇん』の公開にあたり、広くみなさんに映画や天草の存在を知っていただく為に始めたこのページも、早五年が経ちました。当初は確かにがむしゃらに「奮闘」していた私ですが、ある時期から「奮闘」という言葉にどうにも恥じらいを覚え落ち着かず、かといって自ら選び取った言葉を変えることも潔くないとそのまま綴ってまいりました。しかし、今この様々に続いて行く日々の出来事の前で「奮闘」という言葉に値するような行動も取れず悶々とする自分がどうにもこうにも腑甲斐ないのです。

五年の中で私は、様々な人、様々な土地、様々な出来事と出会いました。その出会いの全てが私の体から何かを削ぎ落とし、別の何かを培ってくれました。本当であれば、そうして私は以前にも増して力を付け、もっと人の役に立っていかなければならないはずですが、今はただ目の前にあるものとじっと向き合い考えることが精一杯で、にもかかわらず、気付くと膝を抱えて俯いている。多くの方々がそれぞれの力の限りに輝きを増し、今こそ変わろう支え合おうと呼びかけ、懸命な働きを続けておられるその声の林の中で情けなくも小さくうずくまっている自分には、「奮闘記」と記す資格はありません。では何が。ふと思い浮かんだのが「反芻」という言葉でした。

私は効率の良い人間ではありません。すぐ物を忘れるし、文字を読むことも、映像から情報を摂取することもままなりません。けれど時折ですがこの頼りないアンテナに届く何かがあって、それは、受け取ったその時は関わりのなさそうなことのように見えてしかし、長い時間をかけて並べてみるとそれによって理解する何かがあり、そのことが道しるべとなってくれました。あれはなんだったんだろう。あの人は誰だったんだろう。牛が草を食んで呑込んでは戻し、また食んで呑込んでは戻しながらようやく栄養とするように、わたしは私の出会いを反芻しながら歩き、立ち止まり、ときおりしゃがみこみ、また歩き出してようやくここまで辿り着きました。

五年前のような傍若無人さはとっくに失いました。
おもしろくねえなーと言われるかもしれません。
でも、それが今の私なのです。
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by Yoomi_Tamai | 2011-04-21 18:51 | わたくしごと

心臓の鼓動、放たれる言葉。

NODAMAPホームページから。
『劇場の灯を消してはいけない』
~この東北関東大震災の事態に上演続行を決定した理由〜
http://www.nodamap.com/site/news/206
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みなさん、お元気でいらっしゃいますか。

私は元気です。

東京は今日もすこぶる晴れ渡って、けれどもずっとヘリコプターが旋回していて
どきどきしています。

毎日、どきどきしています。

あんまりどきどきするので
今まで気付かなかった小さな自分の心臓の揺れが
まるで大地の揺れのように感じ
穏やかにお茶を飲んでいても、眠っていても、
はっとして、辺りを確認してしまいます。

心臓が動いているから、私は今もこうして生きている。
一生懸命休む間もなく動いてくれている心臓に驚嘆したり感謝しながら
揺れてるけど、揺れてない、大丈夫。大丈夫。
と、深呼吸します。


私は今、野田秀樹さんの新作『南へ』という舞台に立っています。
火山の噴火を予知出来る三つ子、のうちの一人を演じています。

地震直後、4回の休演をいたしましたが
リーダー野田秀樹氏の決断により、現在は通常通りの上演を行なっています。
もちろん今夜も。


交通網が不安定な中、チケットを握りしめて足を運んでくださる方々が
少しずつですが増えて参りました。

偶然にも、地震がたくさん起きるお芝居ですし
今となっては口にすることを躊躇する台詞も多く
演ずるこちら側は、初めから最後までどきどきしっぱなしです。

けれども、そもそも言葉とはそういうものであった。
と、今、実感しています。


言葉は力を持っています。


体全部でありったけの音量で台詞を放つ度に
その言葉を書いた野田さんも、共演者のみんなも、
ダメージを受けていることが感じられます。

では、私はどうか。

紙に記された言葉を音に変え、さらに力を与えて放り投げ
目の前の相手を傷付け、傷つき、けれどじっと踏みとどまって、共に考えること。


力一杯のエネルギーが動けば、どこかで何かが変化を遂げる。


スタッフのみなさんは、昼間も早くから劇場に入り
帰りは我々を無事に帰した後も残って作業を続け

警備のおじさんたちも、劇場事務の方々も、夜遅くまで上演続投を支えてくださっています。
お客さんも大いに笑ってくださっています。

人一倍臆病者の私だけれど、
ちゃんと引き受けて、思いっきり光を放って突っ走ろう。
それが私の今出来ること。
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by Yoomi_Tamai | 2011-03-18 15:03 | わたくしごと

2011年1月1日、初めての玉三郎。

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みなさまいかがお過ごしですか。
あけてしまいましたが、おめでとうございます。

年末行なわれたとある抽選会で見事大当たりを果たし、元日に御招待していただきました『坂東玉三郎特別公演』。写真は、会場だったル・テアトル銀座ロビーの下りエスカレーターから撮ったお飾りのまゆ玉です。目出たい!目出たい!

人生初めて目にする、本物の玉三郎さん。
演目は、幻と呼び名の高い『阿古屋』。

劇中玉三郎氏自身の手によって演奏された、三味線・箏・胡弓の
特に、胡弓のグルーブ感には腰が抜けました。

関東での元日公演は1946年に初代・中村吉右衛門さんが行なって以来65年振りとのことで、玉三郎さんや共演者の皆さんはもとより、私達観客にとっても、大変貴重な一夜となりました。
そっと立っているだけでその場にいる人達を明るく照らし幸せにするひとこそ、本物と言うのだな。

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さて。私は目下、野田地図『南へ』の稽古中です。

音楽無しでお芝居だけの参加は久しぶりなので
確かに毎日おろおろはしていますが
野田さんの作品はなにもかもが詩のように躍動的なので
歌うような気分で参加すればよいのだ。と、今日やっと思えました。

私がどんなふうに登場するのかは、観てのお楽しみ。

とにかくおろおろしてばかりです。
せっかく野田さんが信じて任せてくださったのですから、役目を果たさなくては。
がんばります。

この舞台が終わったら、今年はきちんとしたソロアルバムの制作をするつもりでおりますので
そちらもどうぞお楽しみに。

では、本年もどうぞ宜しくお願い致します!

玉井夕海より
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by Yoomi_Tamai | 2011-01-14 00:29 | わたくしごと

夜明け

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冬の早朝は寒くて真っ暗闇で恐ろしいので
弱虫で趣味睡眠の私は
訓練の為に時折この時期、自分に早起きを課します。
朝四時半。
ほとんど泣きそうになりながら布団を出て外に飛び出します。
なのに時々寝坊すると、目が覚めたときから世界は眩しく輝きに向かっていく途中で

ああ。
なんだ。夜ってちゃんと明けるんだ。

と、ほっとする。
寝坊がとても喜ばしい。


冬至が近づいていく22日までは
太陽と共にいられる時間が日々減ってゆくのを感じて不安にかられるばかりですが
小さいときから、まっすぐ走るより障害物競走を選んで来た私は
やっぱり明日も四時半に起きます。

おやすみなさい。
みなさん、風邪にはどうか気を付けてください。
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by Yoomi_Tamai | 2010-12-06 21:30 | わたくしごと