人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

Psalm of The Sea

psalm.exblog.jp

ANGELS IN AMERICA 初日舞台を観て。

それはまるで、閃光のようでした。

ANGELS IN AMERICA 初日舞台を観て。_f0054757_1162175.jpg

TPT60 
エンジェルス・イン・アメリカ
ー国家的テーマについてのゲイ・ファンタジアー
Part 1:ミレニアム Part2:ペレストロイカ
2007年3月20日(火) - 4月8日(日) ベニサン・ピット

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
TPTというプロジェクトを知ったのは、昨年春。『もんしぇん』を撮り終え、さて、ここから先どんな風に歩いて行こう・・・と途方に暮れていた私に「まずはいろんな人と出会い、玉井夕海という人物がいることを、もっと多くの人に知らせなさい」と、ユマニテ社長の畠中鈴子氏に助言され、ワークショップへの参加を勧められたことがきっかけでした。

それまで私の興味はほとんど、天草の人間や土地そのものにあったので
既成の演劇や映画や音楽を観に行ったり聞きに行ったりということが
何故か、あまり出来ませんでした。体があまりそれを欲さなかったのです。
だから、世間の流れがどうということと比較して、TPTのことや
そこで行われる芝居について語ることは出来ませんが
それでも分かるのは
ぶっ通し七時間のお芝居を、商業演劇として、
現代日本の墨田区は両国の元染色工場跡地劇場でやる
ということは
すごい覚悟とすごい自信がある証拠だ
ということです。

「エンジェルス・イン・アメリカ」という戯曲は
ユダヤ系アメリカ人でゲイの劇作家トニー・クシュナーが書いた作品で
1991年に第一部
1992年に第二部が
発表されました。

数々の賞にも輝き、多方面から多くの支持を得ていることは
以前から知ってはいたのですが
数年前に日本で上演されたときも結局観には行きませんでした。
お芝居を観に行くという行為は、やっている方が思う程軽いものでは
・・・特に日本では、なく
今回ようやく「ワークショップでお世話になった演出家が演出する」というきっかけで
観に行きました。
(これからは、もっともっと意識的になるようにがんばります)

観る前から一番気になっていたのは、7時間という、
その上演時間の長さでした。

歌舞伎・文楽などはともかく
近代のものは、お芝居も映画も長くて3時間が相場です。
ところが今回の「エンジェルス・イン・アメリカ」再演にあたっては
第一部・第二部両方を続けて上演されたため
3時間半+3時間半の、大長編劇になってしまったのです。

実際は、90分終わるごとに15〜10分の休憩が入ったので
そんなにぶっ通しではなかったのですが
それでも、観る側演じる側共に、戦いにはちがいありません。
一体どんなことになるんだ・・・と思ったのですが
それはまるで「一瞬の光のよう」でした。

突然話は飛ぶようですが
人は、ある長さを超えると
それが瞬間の感覚と等しくなるのではないかと思うのです。

そして大事なものだけが残る。


ふと振り返って思い出すのは、たった一人の笑顔であったり
ふと吹いて来た風の温度だったりする。
だったら、いっそ人生なんて一瞬でいいじゃないか と
言いたくなったりもするけれどでも
どんなに思い出せなくても、積み重なった時間があってこその
いとおしい一瞬の光だ
ということ

そんなことに気付かせてくれる舞台でした。

そして、役者の立場で考えて付け加えるなら
「・・・とあんたは言うが、俺らはともかく実際毎日7時間走ってんだよ!」
という恐るべき事実です。本当にすごい。
あまりに長いマラソンなので、
走っているご本人たちもきっと意味不明になることがあるだろうと思います。
だからこそ、7時間のうちにそれぞれが生き生きとしてくるのが見えるのです。

そういう意味で
これはフィクションでなく
ドキュメンタリーと言ってもよいでしょう。

HIV、人種差別、政治、セクシュアリティ、多宗教
近代アメリカの抱えて来た多くの問題がこれでもかこれでもかと語られ
観る側、演じる側、共に呆然とする瞬間もありながら
けれども、何度も台詞を語り、耳にする度にそれが自分の問題と変わって行く。
演劇の力とはそういうものなのかもしれません。

私が観たのは初日で、まだまだ手探りの部分も多かったですが
きっと刻々と変化していくにちがいありません。
7時間という時間を用意するのはなかなか難しいですが
出来ることならぜひ、一部と二部を続けて体験してみていただきたいです。

スピーディな空間演出と音の迫力も大きな魅力で
あっという間に終わってしまいました。
心地よい疲労と共に。

yoomi


全席指定◎一般/5,000円 学生/3,000円(TPTのみ取扱い)
Part1&Part2通し特別観劇料金/9,000円(同じお日にちの昼夜でご観劇の場合のみ)

TPT電話予約 03-3635-6355
TPTオンラインチケット
(PC) http://www.tpt.co.jp/  (携帯) http://www.tpt.co.jp/m/

イープラス http://eplus.jp/tpt/(PC・携帯)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:35383)
                      0570-000-777(オペレーター対応)
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:375−378)
                 0570-02-9988(オペレーター対応)
@電子チケットぴあ  http://pia.jp/t/
楽天チケット   http://ticket.rakuten.co.jp/

お問合せ TPT(シアタープロジェクト・東京)http://www.tpt.co.jp
電話番号:03-3635-6355
135-0007 東京都江東区新大橋2-17-12 ベニサン・ピット
by Yoomi_Tamai | 2007-03-23 03:58
<< 1999/3/23・・・200... 復活祭! >>